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本人に聞く、バレー界期待の「高校生Vリーガー」西田有志とは何者か


2018年02月17日

 Vプレミアリーグ男子に、全日本バレー期待の”新星”が現れた。愛知県刈谷市を本拠地とするジェイテクトSTINGSへの入団が内定している、現役高校生の西田有志だ。

 三重県海星高3年の西田は、チームの得点源となるオポジットとして年明けから試合に出場している。身長は187cmと、バレーボール選手としては決して恵まれているとは言えないが、サウスポーから繰り出される鋭いスパイクで得点を量産。それまで低迷していたジェイテクトをファイナル6(プレーオフ)進出に導いた。

 2月10日に開幕したファイナル6では、レギュラーシーズン2位の豊田合成トレフェルサ、同1位のパナソニックパンサーズに2連敗。苦しいスタートとなったが、11日のパナソニック戦では、西田が両チーム最多の25得点を挙げた。

 そんな18歳のゴールデンルーキーが、地元・三重の方言を交えながら熱い思いを語ってくれた。


パナソニック戦で25得点を挙げる大活躍を見せた西田 photo by Urakawa Ikken

――早くもVリーグで活躍していることで、人気も高まっていますね。

「ありがたいことに、時期的にチョコをもらうことが多いんですが、ニキビができちゃって(笑)。最近はスターバックスに行くことが多いので、スタバ関係のもののほうが……。あんまりこういうことは言わないほうがいいんですかね(笑)。すみません」

――男子バレーでは高校から大学に進む選手が多いですが、その道を辿らずにVプレミアリーグに挑戦することになったのはなぜですか?

「Vリーグのチームに入ることは、ちっちゃい頃からの夢でした。チームのことを知ったのは、ジェイテクトで働いている兄が『(ジェイテクトには)バレー部もあるんやで』と教えてくれたのがきっかけです。それから自分でもジェイテクトのことを調べたんですが、高校2年の夏に出場した東海大会でチームの方に声をかけていただいて。その時点で、7割くらいは『もう大学はいいや』みたいな感じになっていました(笑)」

――「ちっちゃい頃」とは何歳くらいのときですか?

「10年前の北京オリンピックのバレー中継を見ていたとき、親に『ここ(オリンピック)でやる』と言ったのを覚えています。少し歳の離れた姉と兄がバレーをやっていたので、赤ちゃんの頃からバレーの会場に行っていましたし、僕自身も保育園の年長くらいからバレーやっていますから、Vリーグや全日本が自然と目標になりました」

――中学2年時にはJOC杯の三重県選抜に選出されるなど、注目を浴びるのも早かったですね。

「一応、小学校を卒業するときには強豪の中学校から声をかけていただいたんですけど、僕は『強い学校に行って全国に行く』のが当たり前だとは考えていませんでした。地元の中学校のチームは(バレーの成績が)落ち気味で、バレー経験者の指導者の方も僕が3年生になるまでいなかったんです。だから、それまでは僕が同級生にバレー教えていたんですが、その中で自分のプレーを客観的に見ることができて、バレーの幅が広がりました。

 しっかりとした指導者の方がいたら経験できなかったことだと思います。それもあって、中学3年生のときには愛知の星城高校さん(石川祐希の母校)などからの誘いをお断りする形で、地元の海星高校に行くことを決めました。だから、ジェイテクトに入ると決断したのは人生で最も大きい挑戦かもしれません」

――決断を後押ししたきっかけはありますか?

「(2017年3月の)アジアユースでは出番が少なくて、(同年8月の)ユースの世界選手権ではメンバーに選ばれませんでした。高校の監督から『大丈夫か?』と心配されるくらい落ち込んでしまったんですけど、そのときに『この先もバレーをやっていくなら、もっと頑張らなあかんな』って思ったんです。大学の試合も見ていたんですけど、Vリーグはもっとすごいものがあると感じていて。そこで戦うことを目標に、イチから頑張ることができました」


10日の豊田合成戦で、初のファイナル6を経験  photo by Urakawa Ikken

――”高卒Vリーガー”の大先輩である越川優選手も、代表のアンダーカテゴリーでスタメンを奪えず、「少しでも早く高いレベルでやろうと決めた」と過去に話していました。

「僕も、ユースで一緒になった、1学年上の宮浦健人(早稲田大1年)さんがすごくて、『ああいうプレーができるんや』と思って、『あの人を抜くには早く上のところでやらなければ』と考えていました。それもプレミアを選んだ理由のひとつになったかもしれません」

――石川選手とともに高校6冠を達成した川口太一選手、2015年から春高を連覇した東福岡高校の金子聖輝選手など、春高バレーで活躍してVリーグ入りした年代の近い選手はどう見ていましたか?

「川口さんが6冠を達成したときは僕もレシーブが必要なポジションに入っていたので、リベロの川口さんがコート上でどう動いているのか、映像で何回も確認しました。スパイカーだった金子さんのプレーもよく観察していたので、2人の影響は受けているかもしれません」

――実際にVリーグでプレーしてみた印象は?

「デビュー戦の相手だった堺(ブレイザーズ)さんには、全日本で活躍している出耒田敬(できた・たかし)さんがいて、そのプレーを目の前にして『自分は何しとんのやろな』と思いました。それほど高校とはレベルが違ったので、『やれるんかな』と不安にもなって。でも、不安を抱えたままだとミスをするだけなので、楽しんで思い切り打とうと気持ちを切り替えました。

 高校の試合では思い切り打てばほとんど止められませんでしたし、Vリーグでも最初はスパイクもけっこう決まったんですけど……。(その後は)Vリーグでは思った通りにいきませんでした。特に、3レグ最後のホームゲームで戦った豊田合成さんとパナソニックさんは、やっぱり上位チームということもあって、データのとり方や対策の立て方がそれまでと違っていました。『まだまだ自分のスパイクは通じんのやな』とあらためて気づかされました」

――そこからどのように意識が変わったのでしょうか。

「僕はバレー選手としては背が低いので、それでも得点を決められるようになるにはどうすればいいか常に考えるようになりました。とにかく、ボーっとしてる暇がありません。高校ではボーっとしてるってわけじゃないんですけど(笑)。考える時間が増えたことが、今はすごく楽しいです。

 トレーニングに関しては、高校3年の夏にジェイテクトさんの練習に参加していろいろ教えてもらって、しっかり鍛えてきました。そのときに『筋肉がつきやすい体質』とも言ってもらったんですが、高校でやっとったトレーニングにプラスアルファができたことで、打球は速くなったと思います」

――練習と試合が続く中で、オフにはどうリフレッシュしていますか? 

「まだ高校生なので、友達と買い物に行ったり、ドラマを見たりするくらいですかね。恋愛ものが好きで、『逃げ恥』とかめっちゃ好きです(笑)。他にも映画をDVDで観るなどリフレッシュして練習や試合に臨みます」

――Vリーグで尊敬する選手や目標とする選手はいますか?

「Vリーグでは僕が一番下なので、うまいなと思う選手ばかりなんですが……。パナソニックの(ミハウ・)クビアクさんは駆け引きがすごくて、”世界のプレーヤー”という感じがしました。あとは、同じチームの浅野(博亮)さんも、身長は高くない(178cm)のにスパイクを決められる。ブロックを弾く技術は素晴らしいお手本です。

 同じサウスポーのオポジットである清水(邦広)さんは本当にパワフルで、決めるべきところで決める。それが全日本でやるには大切なんだなと。こうして名前を挙げだしたらキリがないんですけど、僕が考えているのは『いろんな選手を混ぜ合わせた”いいとこどり”の選手になりたい』ということ。だから、すべての選手を尊敬しているんです」

――アンダーカテゴリーではリベロもやったと聞きましたが。

「高校では僕がレシーブ役を担っていたので、最初はリベロでやらせてもらいました。左利きでレシーブができる選手は貴重だと思うので、そこは大きなアピールポイントです。レシーブのポジショニング指示はリベロの仕事と思っていて、スパイカーがそれをできたらすごい選手になれるかなと思っています。今はあまりレシーブする機会がないですけど、試合に出られるならリベロでもいい。そのうちに自分に合うポジションが見つかるかもしれないですしね」

――全日本や東京五輪への思いを聞かせてください。

「アンダーカテゴリーで、世界選手権のメンバーから外されたのは、何か自分に足りないところがあったということ。でも、今はシニアでも勝負できる環境があるので、少しでも早く全日本に入ることを目標にしています。僕まだデビューしたばかりの未熟な選手なんですけど、これから成長していけるように練習していきますので、応援よろしくお願いします!」


インタビュー中は常に笑顔が耐えなかった photo by Nakanishi Mikari

 西田の成長については、ファイナル6の初戦で戦った豊田合成のミドルブロッカー・傳田亮太(でんだ りょうた/日本代表)も称賛する。

「しっかり指先を狙ってブロックアウトを狙ったり、すごくいい選手だと思います。高校生なのでまだ引き出しが少ないですが、どんどん変わっていくでしょうね。今日の試合中も、どんどん工夫して打つようになっていました。日本のバレー界を考えると楽しみな選手ですが、Vリーグでは敵チームにいる怖い存在でもあります」

ジェイテクトの指揮官、アーマツ・マサジェディ監督(元日本代表コーチ)も、「体力があってバネの質が高い。アタックの打ち方もうまいし、レセプションもできる。身体能力と才能がある彼にはいい未来が待っているでしょう。楽しくバレーをやってもらえるように、あまりプレッシャーをかけないようにしたい」と期待を寄せている。

 ファイナル6を2連敗スタートとなったジェイテクトは、ファイナル3進出には1試合も落とせない。しかし、西田は悲観しておらず、「3レグでは、豊田合成さんにもパナソニックさんにも自分の力のマックスを出させてもらえなかったのが、今回は手応えをつかめました。チームの雰囲気も上がっているし、あとは全部勝ちにいきます!」と力強く宣言した。

 土壇場からの逆転劇が実現するかどうかは、進化を続ける18歳の活躍にかかっている。

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