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スポーツクライミング苦手「スピード」克服へ待望の“虎の穴”がオープン


スポーツクライミング苦手「スピード」克服へ待望の“虎の穴”がオープン

2017年03月14日

 2020年東京五輪の追加種目として実施されるスポーツクライミングで、日本男女の金メダル獲得へ、東京に“虎の穴”が完成する。4月中旬、昭島市の「モリパークアウトドアヴィレッジ」に専用ウォール(壁)がオープンすることが分かった。国内で初めて代表チームが合宿できる規模の施設として期待される。五輪はボルダリング、リード、スピードの3種目総合で争うため、日本勢は苦手なスピードへの対応が鍵を握る。

 新種目でメダルを狙う日本勢にとって、待望の施設ができる。東京・昭島市の「モリパークアウトドアヴィレッジ」にそびえ立つ、高さ17・5メートルの壁。鉄骨の骨組みに取り付けられたパネル、赤いホールドは、全て輸入した国際スポーツクライミング連盟(IFSC)公認のものだ。総工費は約3億円。日本国内初の本格的なスピード専用ウォールとなる。

 壁を登る速さを競うスピードは実施3種目のうち、日本人選手に共通した弱点。ボルダリングW杯優勝経験があり、15年アジア選手権(中国・寧波)スピード日本代表の杉本怜(25)=東京都連盟=は「登るだけでなく、壁を蹴って登る力に変える筋力が、スピードには求められる」と独特の難しさを明かす。

 同じ高い壁を登るリードとは「マラソンと短距離走くらい違う」と表現する選手もいる。強豪選手はスーツを着てあっという間に壁を登るCMが印象的な世界記録保持者、ダニエル・ボルディヤフ(ウクライナ)ら旧共産圏出身の選手が多い。

 日本山岳協会の小日向徹選手強化委員長によると、日本は自然の岩登りからクライミングに発展した背景もあり、競技者は難度ではなく速さを競うスピードを“別もの”と捉えられがちだという。専用壁は岐阜県内にあるものの1レーンだけで、実戦的な練習はできない。そのため代表強化合宿は海外に出ていくしかない。新施設に「民間の施設なので占有利用できないのは承知しているが、使用の打診はしている」と期待を寄せる。

 ボルダリング史上最年少女王、伊藤ふたば(14)=岩手県協会=は五輪と同じ形式で争う来夏のユース五輪(アルゼンチン・ブエノスアイレス)に出場資格がある。スピードは「(試合は)昨年のアジア選手権だけ。遅すぎて予選落ちした」というほど苦手で、東京の予行演習にするためにも経験を積みたい。施設を運営する昭和飛行機工業は「周辺には宿泊施設もあるし、合宿は歓迎します」と受け入れに前向き。弱点の壁を乗り越えた先に、東京五輪でのメダルが見えてくる。(大和田 佳世)

 ◆スポーツクライミング 1940年代後半から、ソビエト連邦が自然の岩場でスピード種目の競技会を開催したのが始まりとされている。85年、イタリアでリードによる初めての競技会が岩場を使って開催。フランスでは室内に設置されたクライミングウォールで競技会が開催されるなど、欧州に広がった。W杯は89年、世界選手権は91年に第1回大会を開催。90年代後半にボルダリングも導入され、3種目になった。

 ◆東京五輪での実施方式 予選、決勝ともスピード、ボルダリング、リードの順に行い、各種目の順位を掛け合わせたポイントが少ない選手が上位になる。男女各20選手で予選を争い、それぞれ上位6選手が決勝に進出する。20選手の選出方法については、今年7月に明らかになる国際オリンピック委員会の指針を受けて、今秋に決定する。会場は東京都江東区に仮設する、青海アーバンスポーツで、日程は未定となっている。


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